選挙が終わり、ようやく普段の落ち着きを取り戻しつつある、マレーシア。
選挙について、マレーシアに住んでいたからこそ気づいた、さまざまな話もあるのですが、
今回は、デング熱の話。
というのも、友人やクリニックのお医者さんから、「デング熱が増えているよ!」という、気になる話を聞いたからです。
シンガポール・マレーシアでデング熱 増加傾向あり
シンガポールに親戚がいるマレーシア人の友人が言うには、
「シンガポールでデング熱の患者さんが出ている。」と。
また、近くのクリニックに行ったときにも、お医者さんから、「デング熱が増えてきているので、気をつけてね。」という話を聞きました。
ここしばらくは、デング熱の話題は上がっていなかったので、驚くばかり。
改めて、調べてみました。
シンガポールのデング熱発生状況
シンガポール 環境庁(NEA)のホームページより
HP > Public Health > Dengue > Dengue casesでご覧になれます。
今週は始まったばかりですが、少し減少してきた⁈
マレーシアのデング熱発生状況
Malaysian Remote Sensing Agency(ARSM)のサイト i Dengueより画像をお借りしました。
日本でいう、科学技術庁のようなところの管轄下にある組織の公式ホームページのようです。
マレー語です。一日の患者数と累計の患者数が表示されています。
ちなみに、こちらのサイト、他にもデング熱に関する情報があって、
下のような項目について、調べることができます。
累計のデング熱での死亡者数もでていますね・・・今のところ、39人のようです。
『Kluster Denggi』は、州別の発生エリアを検索できるようです。
こちらをクリックすると、下記のような画面になり、州を選択して、「Papar」をクリックすると、その州の発生している地区名がでてきます。
また、
『Hotspot Denggi Terkini』では、
連続して30日以上、患者さんの申告があるエリアを知ることができます。
もちろん、相手は「蚊」ですから、一か所にとどまってはいませんが、発生しやすいエリアとして気を付けるにこしたことはないですよね。
ここでおさらい。デング熱って?
デング熱は、デングウイルスを持っている蚊に刺されることによって、感染する病気。
英語では『Dengue Fever 』、マレー語では『Denggi』と表記されます。
デング熱の潜伏期間
ウイルスを持つ蚊に刺されてから、2~14日程度の潜伏期間を経て、デング熱を発症。
人→人への感染はなく、必ず蚊が仲介役となって引き起こされます。
でも、どの蚊がウイルスを持っているかなんて、わからないですよね…(泣)
デング熱の症状は?
- 38~40℃の突然の発熱
- 頭痛
- 眼の奥の痛み
- 関節痛
- 全身の筋肉痛
- 発疹
などが、デング熱の主な症状です。
蚊に刺された&これらの症状に当てはまるかも?と思ったら、まずは病院へ!
インフルエンザの症状にもよく似てませんか?
インフルエンザにかかった時も、高熱といっしょに、筋肉痛や関節痛といったかなり辛い痛みを感じた経験があります。
でも、デング熱の関節痛は、その比ではないようです。
Break bone feverともいわれることがあるくらい、かなりの激痛を伴う場合があるようです。
デング熱の高熱の山は2回くる⁉
高熱で始まることが多いデング熱の症状。
発症から3日ほどたつと、いったん37℃前半くらいにまで熱が下がってきます。
しかし、その後また、38℃以上の高熱が現れることが多いようです。発疹があらわれるのも、このころです。
こんな感じで体温が変化することが多いと言われています。
体温の変化は、グラフ化しておくと、お医者さんにも、わかりやすいですよね。
デング熱の診断
デング熱が疑われる時、マレーシアでは、
採血した少量の血液を用いて、数~数十分で判断できる簡易キットが使われているところが多いようです。
このキットは、普通のクリニックでも取り扱われています。
さらに、大きな病院では、より細かな診断もできるようで、ウイルス抗体を調べたり、型を調べることができるところもあるようです。
血液検査も必須です。
指標となるのは、
- 白血球(WBC)減少
- 血小板(PLT)減少
- ヘマトクリット(HCT)の上昇(脱水症状かどうかのひとつの目安)
などの血液検査項目の数値の変化。
これらの数値をひとつの参考資料として、入院や通院観察など、その後の治療にも影響してくるようです。
デング熱の治療は?
特効薬はなし!
デング熱ウイルスに効く薬は現在のところ、まだありません。
ワクチンはさまざまな製薬会社によって開発されているようですが、
ある会社のワクチンがフィリピンで実際に接種されていたところ、重篤な副作用が多数発生したようで、現在はそのワクチンの接種が中止されたとのこと。
安全で効果的なワクチンが早く開発が待たれます。
といった状況なので、現在は、辛い症状を軽くする治療のみが行われます。
対症療法に使用される鎮痛剤
アセトアミノフェン( Acetaminophen)やパラセタモール(Paracetamol)と呼ばれる解熱鎮痛剤が処方されます。
ひたすらこの鎮痛剤を飲んで、水分を摂って、を繰り返します。
マレーシアでは、「パナドール(Panadol)」という商品名で、ガーディアンやワトソンズといった街中のドラッグストアだけでなく、コンビニエンスストアなどでも販売されています。
もちろん、病院で処方されるものは、一般で売られているものと、含量が異なったものが処方されます。
また、日本の病院で処方されるカロナールは、このアセトアミノフェンを成分とするお薬です。
症状がさらに重いと・・・
水分を口から摂ることができない、血液検査の数値がよくないなどは、さらに点滴による処置が行われる場合もあります。
解熱鎮痛剤●●は使っては危険×!!
デング熱の中には、出血が止まりにくくなる型もあるため、使ってはいけない鎮痛剤というのが、あります。
アスピリン、ロキソニン、ボルタレン、バファリンなどは、デング熱にはNGの鎮痛剤です。
わが家・・・実は過去に・・・
実は、わが家の子ども。デング熱として、マレーシアで治療を受けたことがあります。
症状は・・・
まさに、突然の高熱ではじまりました。
全身の関節痛を訴え、熱が下がらないので、近くのクリニックへ。
- 蚊にさされていないか?
- 茂みや森など、ここ最近行ったことがないか?
といった質問をされましたが、
本人には、蚊に刺された記憶も痕もありません。
検査結果は・・・ん?
でも、一応念のために・・・と検査をしました。
その検査キットは、こちら。NS1抗体を利用する簡易キット。
採血してもらって、検査結果を待ったんですが・・・
クリアに結果が出なかったらしく、もう一度検査したら、どうも微妙に陽性⁉
血液検査の数値もあまりよくなかったということで、
「デング熱だろう」
と、いうことに(-_-;)
自宅からの通院で、
- 毎日血液チェックに来ること
- 急変したらすぐに病院に来ること、その時は入院が必要だろうということ
と言われ、
薬を処方してもらって帰宅しました。
処方された薬は?
処方されたのは、鎮痛剤のパラセタモール500㎎。1日にかなりの回数の服薬を指導されました。
あとは、デスロラタジン(Desloratadine)が成分の抗ヒスタミン薬が処方。
経過は?
熱はいったん下がったものの、また再び発熱。
例の山が二つある熱の変化です。
また、血液検査もなかなか数値が戻らず。でもひどく悪化もしないので、そのまま自宅にて引き続き経過観察。
が、5日たっても、あまりよくならず・・・ローカル友だちのだんなさん(お医者さん)のアドバイスもあり、抗生剤を飲むことに・・・
すると、翌日には、熱も収まり、食欲も回復し始め、ようやく落ち着きました。
デング熱ではない、と言い張るわが子(;’∀’)
そんな熱に苦しんだわが子。
「自分は蚊にさされてなかったし、デングではなかったと思う。」
と言っています。
そういえば、発疹も全く出ませんでした(;’∀’)
ローカルの友だちも、
「デングっぽくない気が・・・ほかの感染症でも白血球の数値とか悪くなるしねぇ・・。」と。
私自身も実は疑問に思うことがあり・・・
実はお医者さん。当時まだかなり若くて、ちょっと手際が悪かったんです。デング熱検査。
終わってみて、疑うのも何なんですが・・・ちょっとクエスチョンマーク??あり(笑)
ただ当時(数年前です)、かなりデング熱がはやっていて、他のエリアに住んでいる日本人も多く入院した、という話もききました。
また、
別のローカル友だちも、仕事場のあるエリアでかなりのデング熱患者さんがいて、友だち自身もデング熱にかかっていました。
幸いみんな、今も元気です・・・なによりです。
といういきさつがあったので、今後チャンスがあったら、子どもには、抗体検査をどこかで受けてチェックできたらなぁ・・・と思っています。
まとめ
デング熱の初期症状は、突然の38℃以上の高熱と全身、特に関節の痛みがでてきます。
また、
デング熱そのものを治療する薬はまだないため、解熱鎮痛剤を使用することになります。
その際は、アセトアミノフェンを成分をするものを使うことが重要です。
そして、できればかかりたくないデング熱。
次回はその対策について、ご紹介したいと思っています。